ホビット 決戦のゆくえ
『ホビット 決戦のゆくえ』を見た。
学生の頃に『指輪物語』を読んでファンになり、『ロードオブザリング』として
映画化された時にさらにファンになった。
この作品の面白いところは、人間もエルフもドワーフも、そんなに強くないところだ。
ドラゴンクエストで例えると、ベホマやザオリクといった体力を完全回復したり、
死んだ人を生き返らせる魔法は存在しない。
同様に、ギガデインやアバンストラッシュのような必殺技もない。
映画の演出でレゴラスというエルフ族の王子がトリッキーなことをするけれど、
せいぜいそのくらい。
昔、ソードワールドというテーブルトークRPGでよく遊んだ。
これもプレイヤーはあまり強くない。
レベルを上げても、油断するとすぐにご臨終。
なので、敵と戦う時にはかなり工夫がいる。
例えば、洞窟の入り口に着いた時も、すぐには入らない。
ゲームマスターが罠をしかけている可能性があるからだ。
実はオークが待ち伏せしているんじゃないかと勘ぐって、
石を投げたり、魔法で音を立ててみたりする(魔法でできることはせいぜいその程度)。
『ロードオブザリング』や『ホビット』でも主人公たちは制約が多く、作中で
最も強い魔法使いの一人であるガンダルフにしても、派手な魔法は使わずに、
剣や杖で相手をぶん殴る。
主人公であるホビットのフロドやビルボに至っては、下手をするとそこらへんの
一般市民より力は弱い。とにかく、主人公たちは最後まで普通の人たちの範疇であり、
スーパーマンではないのだ。
象徴的なのはアイゼンガルドやミナス・ティリスの戦いで、前者は主人公たちに
味方したエント族、後者は亡霊たちが敵の大群をやっつける。
ネタバレになるので詳細は省くけれど、決戦のゆくえも似たような描写になっている。
あらためて制約の面白さがよくわかる作品だった。